最近、地震や台風等の自然災害が絶えませんね。
災害大国日本に住んでいる限り、これらの災害から逃れることはできないのかもしれません。
そんな災害時、格安SIMを使っていると大手キャリア(au・docomo・SoftBank)よりも繋がりにくくなることがあります。
それはなぜなのか?
また、災害時におこりうる格安SIMのデメリット、災害時の状況・災害時に使える便利なツール等をここで紹介します。
災害時に想定される格安SIMの3つのデメリット
デメリット①データ通信の回復が遅くなる可能性がある
災害発生時、回線を借りている大手キャリアが無事なら、データ通信をすぐに使うことができます。
逆に、大手キャリアとの接続回路が破損してしまうと、接続回路が破損した格安SIM業者全体に通信被害が発生します。
回線を借りている大手キャリアに障害が発生した場合、基本的には大手キャリアの回復とともに、格安SIMのデータ通信も復旧します。
デメリット②緊急地震速報に対応していない端末がある
回線ではなく端末に起因するため、格安SIMを使う上でのデメリットだと一概には言えませんが、格安SIM業者で使用されるSIMフリー端末は海外製のものが多く、国内の緊急地震速報に対応していない可能性が高いです。
(大手キャリアが提供する端末は、緊急地震速報に対応しているものが多いです。)
事前に、今使っている(使おうとしている)SIMフリー端末が、緊急地震速報に対応しているかを調べておけば安心です。
もしも緊急地震速報に対応していない事が分かった場合、後述する災害用アプリなどをインストールしておきましょう。
デメリット③災害用伝言板が使えない
災害用伝言版は、基本的に大手キャリアの端末でのみ使用可能です。
災害時に起こる格安SIMのデメリット対策
データ通信対策はできないけど、災害に対策した格安SIMはある
大手キャリアと格安SIM業者の接続部分が被害を受けると、どうしようもありませんね。
格安SIMを使用する場合、データ通信に関しては具体的な対策方法はありませんが、そのリスクを少しでも緩和しようと対策している格安SIM業者があります。
それが「IIJmio」と「OCNモバイルONE」です。この2つの業者は、大手キャリアとの接続回路を関東と関西の2箇所に設けています。
一般的な格安SIM業者の場合、大手キャリアとの接続部分を全国に1箇所しか持っていません。
しかし「IIJmio」や「OCNモバイルONE」のように、接続部分を2箇所に分散させていると、片方の接続回路が完全に停止しても、もう片方の接続回路を使うことができる為、リスクを大幅に減らすことができます。
これで絶対に大丈夫。と言うわけではありませんが、格安SIMならではのデメリットを改善しようとしている格安SIM業者も存在しています。
格安SIMを検討している人は、料金やデータ容量の他にもこういった部分を気にして選びたいですね。
災害用伝言板の代わりに使える3つの便利なツール
格安SIMで災害用掲示板は使えません。
では、「格安SIMで安否確認はできないの?」かというと、決してそうではありません。
格安SIMでも利用できる便利なツールがいくつか存在するので、3つピックアップしてご紹介します。
①Googleパーソナルファインダー(安否情報登録ツール)
Googleパーソナルファインダーは、Googleが提供しているサービスで、氏名を登録することができます。
Googleパーソナルファインダーには、電話番号を知らなくても検索できるというメリットがあります。
しかし、同姓同名の人がたくさん居そうな名前の人は使いづらいですね。
②Web171(安否情報登録ツール)
Web171は、NTT東日本・NTT西日本が提供するサービスです。
電話番号と氏名を登録することができます。電話番号の登録が必要であるという制限はありますが、Googleパーソナルファインダーに比べ個人を特定しやすいですね。
またNMOの伝言板サービスと連動している為、実質同じサービスを受けることができます。
③J-anpi(安否情報検索ツール)
J-anpiはNTTレゾナントが提供しているサービスです。
J-anpiは上記2つのサービスとは異なり、安否情報の検索ツールになります。そのためJ-anpiで安否情報を登録することはできません。
ではJ-anpiがどういったツールなのかというと、被災者がどこに安否情報を登録しているのかを検索するためのツールです。
また、上記2つのサービスで災害掲示板に加え、企業や自治体の提供する情報も検索対象になるため、検索漏れが少なくなっています。
緊急地震速報に対応していない端末でも使える2つの災害用アプリ
使っているスマホが緊急地震速報に対応していない場合でも、災害用のアプリをインストールしておけば、災害用アプリがプッシュ通知で知らせてくれます。そんな便利ツールを、以下で2つご紹介します。
災害用アプリ①:Yahoo! 防災速報
Yahoo! JAPANが提供するこのアプリは、地震だけでなく津波、土砂災害、避難情報、国民保護情報もカバーしています。
これ1つで様々な災害に関する通知を受けることができるので、大変便利ですね。
アプリの価格は無料で、iPhoneとAndroidに対応しています。
災害用アプリ②:ゆれくるコール
ゆれくるコールは、緊急地震速報に特化したアプリです。
緊急地震速報を受信することができない端末でも、このアプリをインストールしておけばプッシュ通知で緊急地震速報を受信することができます。
価格は無料で、iPhoneとAndroidに対応しています。
過去の震災で起きた通信被害
東日本大震災時の通信被害
東日本大震災が発生した当日、1〜3日後、1ヶ月後の携帯電話の電波状況のデータをご覧ください。
携帯電話は電波が良好に入っていると電波マークが3本、電波が弱くなるにつれて2本、1本と減っていき、最終的に圏外となります。
上記のグラフは、地震発生直後から、どのタイミングでどの程度電波が入っていたか示しているものです。
なお、こちらは大手キャリア・格安SIM問わず集計したデータで、集計範囲は被災地(津波により被災した区域)となります。
グラフからもわかるように、震災当日は半分以上の端末が圏外、もしくは電波0本の状況ですね。1〜3日で約半数が通信を行える状態に回復し、1ヶ月後には8割程度が電波3の状態に回復しています。
やはりあれほど大きな被害の震災が起こると、通信網はかなりの影響を受けるようです。
熊本地震発生時の被害状況
熊本地震発生時も、地震発生当日docomoは一部地域で通信不可、au・SoftBankも被災地で繋がりにくい状況だったというデータが残っています。
ただ、東日本大震災から学び、無料のWi-Fiスポットが提供されるなどの対応を行ったおかげで、東日本大震災の時よりも、復旧は早かったようです。
格安SIMは業者によって被害に差があった
さて、大手キャリア・格安SIM問わず震災発生時の状況についてまとめてみましたが、格安SIMは本当につながったのでしょうか?
実際のところやはり、大手キャリアが復旧すると同時に使えるようになった格安SIMもあれば、接続回路に障害が発生してしまったために、大手キャリアが復旧しても繋がらない状況が続く格安SIMもあったようです。
なお、IIJmio、mineo、SMM mobile等の格安SIMの業者は、被災者に対して、使用料金減額や高速利用可能なクーポンの配布など、それぞれ独自の救済措置を取っていたようです。
格安SIM利用者が災害時に気をつけること
①被災地への電話はひかえよう
被災地に家族や知人がいる場合、安否が気になるのは分かりますが、なるべく通話は控えましょう。
最初に解説した通り、被災地では通話が集中する可能性が高いので、それにより障害が発生してしまうのを防ぐためです。連絡を取りたい場合は、なるべくLINE等のメッセージアプリやメールを利用しましょう。
また、上記で紹介した伝言掲示板やツールを使った安否確認も有効です。
②被災地以外でも格安SIMは通信を控えよう
格安SIMをご利用の方は被災地以外にいる場合でも、動画の視聴などのデータ容量の多い通信は控えましょう。
こちらも冒頭で解説しましたが、格安SIMを使用している場合、大手キャリアとの接続回路に異常が生じた場合に、その格安SIMは全て被害を受けてしまうことになります。
まとめ
格安SIMを使っているからといって、災害時に全く通話ができなくなったり、データ通信ができなくなるわけではありません。
災害時に通信状態が混乱し、通話やデータ通信が行えなくなることは、大手キャリアの端末でもあり得ます。
ただやはり、格安SIMフリー端末は大手キャリアの端末に比べると、やはり災害時のリスクが多く、制限もあることは否めないようです。
格安SIMはお財布に優しく、普及率も順調に上がっていますが、災害時に想定されるリスクを理解し、災害用アプリのインストールなどの準備をしておくことが、望ましいですね。
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